遊備忘録

ここで泥を吐き出すことによって日常生活を保つことができます

人違い

 

髪を切りたい

 

 

耳が見えるくらいまで、肩につかなくて結べないくらい切ってしまいたい

それとも肩につくくらいがいいのか

それともこのまま伸ばし続けるべきか

 

 

 

私はいつも誰かになりたくて

 

自分ではない別の人間になりたくて

髪を切る

 

 

そして理想の髪型になれば、きっと中身もそうなれると信じて

 

 

この2年、その衝動に駆られることなく、伸ばした

 

 

 

いや、それはきっと嘘で

 

長い髪に憧れて切れなかった方が正しい

 

「髪の長い自分」が喉から手が出るほど欲しかった

 

 

髪が伸びたらきっと理想の人間になれると心の底から信じていた

 

 

憧れている女性になれると

 

目標の髪型になって、いつも気づく

 

 

これは誰?

 

 

「こんな長い髪の毛に似合うほど私は女ではない」

 

そう思っている自分がいる

 

 

 

でも短ければ

「こんなに”ボーイッシュ”なのは自分じゃない。

自分の中にもっと生々しい女らしさがこびりついている」と思っていた

 

私は最近になって一番自分が性に縛られている事に気づく

 

 

ボブもミディアムもウルフも全部違う

 

髪を染めたってパーマを当てたって

 

全部私じゃない。

 

 

 

気持ち悪い。

 

自分なのに、本当の自分になれない。

 

「たかが髪の毛で、髪なんかに中身は左右されないよ」

なんていうほど私は強くない

 

 

誰かになりたくて

自分ではない別の人間になりたくて

常に憧れの”誰か”を真似して生きてきた

 

 

そうすればきっと自分の中の最高にたどり着けると思っていたのに

 

 

 

 

気づけば自分が誰か分からなくなった