遊備忘録

ここで泥を吐き出すことによって日常生活を保つことができます

洗面所

 

姉のLINEが新姓に変わっていた

 

 

実感を持てない事実が急に

現実である、と突きつけられた気分だった

 

妹としてずっと自慢だった姉

 

私には到底できないことも姉はやってのけた

 

天才と謳われ、可愛いと褒められた姉はもはや私の誇りでもあった

 

 

その反面、周りは比べないでいてくれたが

自分自身が同じ姉妹なのだからと必死に追いつこうとしていた

 

同じ高校に入り、同じ大学に入ろうとした

 

 

そして姉にできることは私にはできないことだと理解するのに12年かかった

 

 

大学に入り、自分にできることもあると自分の強みを磨いた

 

私には私の良さがある

 

それが正解だとも納得できた

 

 

 

 

洗面所でふと姉が置いて行った歯磨き粉に目がとまった

 

 

 

将来も何も決まっていない、一歩先すら見えない今の私と同じ歳の時、

 

姉は職も結婚相手も見つけている

 

 

 

その事実に激しい衝撃でしばらく呆然と立ち尽くした

 

 

たかが22歳、まだまだこれからだと信じていた

 

その22歳で彼女は人生設計の大部分を終えているのかと

 

 

 

怖い

どうしようもなく怖いのだ

 

ただでさえ見えない未来に不安で押しつぶされそうなのに

何故こんな現実に向き合わなければならないのか

 

 

 

人と比べるな

 

それはそうだと分かっている

 

けれどその”人”は”他人”であるから簡単に言えるのだ

 

 

同じDNA同じ環境の人間を、どうやって比べるなと言えるだろうか

 

 

何故その差が生まれたのか、考えざるを得ない

 

 

 

高すぎる壁は登る気にはなれない

 

ただその高低差に落胆するだけだ