賢い女になりたかった
知的で感情があまり表に出ない、意志の強い女になりたかった
物心ついた頃から、そんな女性に憧れていた
感情でものを話すのではなく、全て論理的で淡々と、たまにじっくり考えるような女になりたかったのだ
そのためにがむしゃらに勉強し、人格を修正し続け、考える時間を作るようにした
「頭が良ければ愛してもらえる」
そんなふうに解釈を直列つなぎにして
でも、なれなかった
私は感覚的で感情的でどうしようもなく馬鹿だった
無理やり勉強しても知性は手に届かず、手に入ったのは徒労感と擦り切れた心身
どうなりたいか、ではなくどうあれば心地良いか、を考えられなかった
明るくもなく暗くもなく、
頭が切れるわけでもなく壊滅的に勉強ができないわけでもなく、
器用でもなく不器用でもなく、
男性的でもなく女性的でもなく、
論理的でもなく感情表現が豊かなわけでもない
中途半端な自分を認めて
中途半端を突き通す勇気を持てない
気づけば中途半端な性格の悪さと優しさを持ち合わせた人間になっていた
小さい頃は、ピンクのフリフリや花柄が大好きだったのに
周囲に溶け込むために嗜好を曲げてボーイッシュが好きだと思い込ませた
結果何が好きなのかよくわからない人間が出来上がった
ありのままを愛そうなんて美しすぎる思考は体に染み込まなくて。
いつになれば私は賢い女になれるのだろう